骨格の矯正

 軽度の骨格のズレは筋肉を緩めることにって自然に元へ戻りますが、ズレが甚だしいものや慢性化したものは矯正しないことにはそのままの状態となります。
 特に頸椎(首の骨)は、ずれていれば出来る限り矯正します。同じ脊椎の中でも頸椎だけは両側(横突起)に穴があいていてその中を椎骨動脈という血管が通っています。(頸動脈とは別のものです。)椎骨動脈は脳に血液を送る大事な動脈です。一瞬なりとも血液の流れを止めるわけにはいけないので骨に守られているのだと思います。頸椎がずれるとこの動脈の血流が悪くなり、脳の働きが鈍くなったり様々な症状が起きてきます。従って頸椎の矯正は出来る限り行うようにしています。

◎矯正テクニック
 骨盤の矯正以外はカイロプラクティックのテクニックを使います。
 骨盤の矯正は、私にとってはカイロプラクティックのテクニックの中に的確なものがなく、ある先生の方法を応用して使っています。(骨盤の矯正は手だけでなく足を使う場合もあります。)
 いずれにしろ、矯正テクニックというのは、武術の技のようなものです。誰でも習えば出来るというものではありません。練習も必要ですが、生まれもっての素質がないと、どれだけ練習しても骨を動かすことは出来ません。
 実際に、カイロプラクティックの看板を掲げている治療院へ行っても、的確に骨を動かしているところは、数えるほどです。看板だけのカイロプラクティックが如何に多いことでしょう。
 そういうところほど、話術が上手です。また、矯正できないがために、「骨をボキバキするカイロプラクティックは危険ですので、痛くないソフトなやり方で動かします。」と言ってごまかします。その方法でも筋肉バランスが改善されれば、確かに効果がありますが、1~3回治療してもらっても効果が無いようであれば、諦めたほうが良いです。
 的確な矯正であれば、ボキバキと音がしても何の危険性もないし、痛みもありません。何よりも、その即効性は、素晴らしいものです。本当にズレた骨を元へ戻してもらうと、スッとします。しかし、テクニックが未熟だと筋肉や靭帯を傷つけ捻挫のような症状を引き起こす場合がありますので、ご注意下さい。例外を除いて、矯正は力でするものではありません。技でするものです。

 カイロプラクティックによる矯正方法には様々の方法があります。すべて合わせると500種類はあると教えられています。私はその中でデバシィファィドテクニックと呼ばれる方法を使っています。その中でよく使う頸椎と胸椎と腰椎のテクニックについて一つずつ説明します。
 具体的に説明はしますが素人の方は絶対に真似をしないで下さい。
 矯正方法を理解していただくことにより、より的確に安全に矯正を受けられると言うことで説明します。

・頸椎のアジャスト
 頸椎テクニックで最も多く使う方法は、頭を片手でロックしもう片方の手(指)でスピードを利用して矯正する方法です。この方法は頸椎のアジャストと呼んでいます。
 頸椎に限らずスピードを利用して行う矯正方法はすべてアジャスト呼びます。逆に力を利用してゆっくり矯正する方法はスラストと呼びます。
 頸椎テクニックは習得するのが難しく頸椎の矯正が出来るようになったら一人前のカイロプラクターと言われます。
 頸椎を矯正するには触診が重要です。背骨(胸椎、腰椎)はアバウトでも無理矢理出来ますが、頸椎はどの骨がどのようにずれているのか確実に把握しておく必要があります。触診さえしっかり出来れば半分は成功したと言えます。
 人間の指先は訓練すると1000分の何ミリまでの変位を読み取ることが出来ます。機械の精密加工や組み立てをしておられる方はそのような技能を持っておられます。私も過去においてはそのような仕事をしていましたので習得しやすかったです。頸椎の触診にはそこまでの細かい変位を読み取る必要はありませんが、0.何ミリ単位では変位を読んでいます。また、骨そのものを触診しているわけではなく、筋肉、脂肪、皮膚を介していますのでその分を差し引いて骨のズレを読まなければいけません。患者さんによっては筋肉が骨のように硬直している場合もあります。
 指の感覚だけではなく気を読むことによっても骨のズレを読んでいます。ずれた骨はそれなりの嫌な波動を感じます。(実際はもっといろいろな情報を読んでいます。)この場合触診しなくてもどの骨がずれているか分かることもあります。普通は併用して骨のズレを診ています。

 頸椎を矯正する前に片手で首と頭を最も矯正しやすい角度にロックします。そして矯正する頸椎に人差し指の先を当てます。このとき中指は人差し指に添えます。
(頸椎のアジャストで力も要するときは指先ではなく根本を使うこともあります。)
 この当てる位置をコンタクトポイント呼びます。コンタクトポイントの位置がわずかでもずれるとうまく矯正出来ません。また、矯正する角度も重要です。ずれた骨が元の位置へ戻るような方向へ動かさないことには矯正できません。間違った方向へ動かしていたのでは力任せで無理矢理矯正してしまうことになります。もしくはまったく動かなくなります。
 もうひとつ大事なことは、患者さんの反射神経のスピード(1/100秒)に負けないスピードで動かすことです。患者さんに力が入ったらもう動きません。患者さん側から言えばいかに力を抜くかです。
 矯正と同時に頸椎間を開くために首をくの字に曲げます。
決して首をひねっているわけではありません。首をどれだけひねっても矯正は出来ないです。
 骨が動くとき真空の泡が出来ます。これが破裂するときに大きな音がします。これをクラックと呼んでいます。指の関節がなるのも同じ原理です。周りで聞いているものでもハッキリ聞こえますが、患者さんには骨伝導で鼓膜に伝わりますのでかなり大きな音となりびっくりされる方がおられますが心配ないです。首を急激にねじってもクラック音がしますが、音だけで頸椎は動いていません。この方法はある状態における筋肉を緩めるには好都合の時がありますので必要なときには使います。
 頸椎のズレが甚だしい人は矯正してもらうと一気に脳への血流が良くなって頭がスッとします。特に頸椎の1番2番がずれているときは顕著です。

・アンテリアソラシック
 頸椎より下の脊椎は胸椎12個(肋骨が出ている部分)と腰椎5個に分けられます。
このうち胸椎を矯正するのにアンテリアソラシックというテクニックを使います。
 アンテリアは前方、ソラシックは胸椎という意味です。つまり、アンテリアソラシックは胸椎を前方へ動かすという意味です。脊椎は構造上後方へしかずれませんので前方へ動かすだけでよいということです。
 普通、背骨の矯正は患者さんがうつむきの状態で行いますがアンテリアソラシックは仰向きの状態で行います。
 どうやって仰向きで行うのかというと、まず柔らかいベッドでは出来ませんので薄いスポンジの入ったボード(板)をベッドの上に置きます。患者さんにその上に寝てもらいます。ドクターは患者さんの右手側に立ちます。ドクターは患者さんの胸にクッションを置き、患者さんの両手を引っ張り、次にクッションを絞るようにクッションを抱かせます。ドクターは絞った患者さんの両手が緩まないように自分の胸でロックします。次にドクターは右手で患者さんの頭を持ち背中を少し起こします。そして左手を患者さんの首にかけ持ち上げてボードと背中の間に隙間をあけます。その隙間に右手を入れ背骨を触診しずれている骨を探します。そして右手の親指と人差し指は開いて握り拳を作り、患者さんの矯正すべき背骨の下に入れます。親指の付け根と握った3本の指の間に背骨を納める状態にします。この状態で静かに左手を降ろしていき握り拳がボードにつくかつかないかのときに一気に患者さんの体重と自分の体重を併せてかけます。これでだるま落としの要領で難なく背骨を矯正することが出来ます。
 頸椎のアジャスト同じく難しいテクニックですが、習得すると他の矯正方法に比べて無理なく安全確実に矯正することが出来ます。
 コツはドクターも患者さんも力を抜くことです。ドクターに力が入ると患者さんは力を抜くことが出来ません。患者さんはドクターの動きに合わして力を抜いて下さい。
 アンテリアソラシックは胸椎を矯正するためのものですが変化をつけることによって腰椎上部のの矯正も出来ます。また、胸椎のねじれや側湾や後方、下方などのずれにも対応できます。

・ランバーロール
 腰椎は上から押さえるだけで簡単に矯正できますが、ねじれている場合はそうは行きません。この場合はランバーロールというテクニックを使います。ランバーとは腰椎のことです。
 腰をねじるとボキボキといかにもクラックしたような音がすることがあります。しかし、実際は音だけでずれた骨はそのままです。この方法を頻繁に使っていると動きやすい骨だけがよく動くようになりかえって悪い結果となります。
 ランバーロールも腰をねじりますが、それと同時に動かしたい腰椎を指でつかみ動かしますので確実に矯正できます。
 ドクターは腰椎のずれかたにより(右へねじれていれば左側を上にして)患者さんを右か左の横向きに寝てもらいます。このとき頭と足に枕を置きます。ドクターは患者さんのお腹側に立ちます。患者さんに両手首もしくは両腕を持って組んでもらい、その中にドクターの片手(患者さんに対して頭側の手)を通してから矯正しようとする腰椎のひとつ上の腰椎の刺突起(きょくとっき)と呼ばれる部分を指でしっかりつかみます。もう片方の手で矯正しようとする腰椎の刺突起をしっかりつかみます。さらに、ドクターの脚を患者さんの脚に乗せ押さえます。ドクターは片脚立ちとなります。この状態でドクターは患者さんが組んだ腕に通した自分の腕を患者さんの体がねじれるように動かします。同時に頭側の手を下方へ脚側の手を上方へ動くように力を入れます。このとき脚の押さえを忘れてはなりません。これでビシッという音ともに腰椎のねじれはとれます。今度は患者さんに逆向きに寝てもらいます。そして同じことをもう一度します。ただし頭側の手が矯正しようとする腰椎に反対側の手がその一つ下の腰椎となります。
 ドクターは刺突起をつかんでいる両手と脚の押さえを同時に意識しないとうまく矯正できません。それと握力が必要です。
 ランバーロールは難しいように見えますが練習次第で誰でも出来ます。患者さんは腕をしっかり組んでいただいて後はドクターに任せますという態勢になっていたたげれば結構です。